2024/01/16 13:22
こんにちは。
junonoです。
今回は、フランスやヨーロッパの一部の地域の屋根に使われているアードワーズと呼ばれる天然石や瓦屋根を紹介します。
アードワーズ石は日用品にも使われている、生活に密着した身近な天然石です。
英語ではスレート、日本語では天然スレートが一番近い表現かと思われます。
ベルサイユ宮殿や多くのお城もアードワーズ石の屋根瓦です。
ベルサイユ宮殿のアードワーズ石の瓦屋根
こちらは、ベルサイユ宮殿の正面。
観光客はもちろん、首脳会議や来賓訪問といった行事をフランスがホストした時などに、よく撮影されているスポットです。
手前の敷石は黒と白の大理石、外壁は赤レンガ、像は大理石、屋根はアードワーズ石瓦で、アクセントは金の装飾。
ダークグレーのアードワーズは、金の装飾や白の大理石、そして赤レンガとも見事にマッチしていますね!
美しいです。
ベルサイユ宮殿の前に宮廷として使われていた現在美術館のルーブル宮殿、ロワール河古城のお城や城下町の家などもアードワーズの瓦屋根です。
一般的に使われている天然石素材の屋根瓦は、フランスではアードワーズのみ。
それでは、アードワーズ石瓦の細部をおみせしますね。
アードワーズの石瓦
アードワーズ石はダークグレー系色の天然石です。
産地によっては、緑、青、白、黒、赤の色みが入っているものもあります。
ヨーロッパではローマ時代から使われていて、フランスでは中世になって広く活用されるようになったとのこと。
フランス西部で多く産出していて、地産地消だったようです。
ですが、フランスやドイツではすでに枯渇状態で、現在はスペインから主に輸入しているとのこと。
地産地消が微妙になっているものの、現在私が住んでいる近隣地域もアードワーズ石瓦の屋根で統一されています。
うちのアパルトマンの屋根に雨どいがない箇所があったので、みてみました。
こんな感じで、薄くスライスした平らなアードワーズの石板が重ねてありました。
アードワーズの屋根瓦の規格は、いくつかあるようです。
2枚交互に重なっているので一枚につき表面に出ている部分は少ないのですが、ここのものは縦は恐らく35cmで横は22cm。
薄さはなんと3.5mm。
ヘアピンやカーテンに使うピンのような金具でとめて、どの部分も2枚が重なるように配置してありました。
重ねても7mmの薄さ!
この薄さでもアードワーズ石瓦の耐久性は高く、100年くらいはもつとのこと。
ちなみにこのアードワーズ石瓦の古さは10年程。
大西洋が目の前で、さえぎるものがないフロントラインに建っているのですが、地球気候変動の影響でで襲来頻度が増すテンペットと呼ばれる大嵐が来ても問題なし。
この薄さでこの留め方なのによく耐えている、と毎回感心しています。
天然石の瓦屋根は強くて丈夫で、化学物質を使っていなくて変色もなし。
なんとなく安心感があります。
アードワーズ石の活用例
アードワーズの石は、建物では壁や庭に飾ったり撒いたりといった用途にも使われています。
その他にもいろいろなところで見かけます。
たとえば、表札。
トレイ。
お皿。
普通のお皿とあまり変わらないお手頃価格で買えます。
黒板。
wikipediaによると、学校の教室にあるような黒板はフランスからアメリカに伝えられて、アメリカから日本に伝えられたとのことでした。
ただし、日本の黒板はアードワーズ石の板ではないようですが。
フランスでも現在はアードワーズ以外の人工的な素材の黒板もあります。
以前まで、フランスや一部のヨーロッパの学校では生徒全員がタブレットサイズのアードワーズをノート代わりに使っていたとのこと。
その後、紙ノートに大切なことを書いて、計算式や練習問題用にアードワーズが使われるようになり、やがて紙ノートのみに。
iPadのようなタブレットも一部で使われるようになったものの、2018年からスマートフォンとタブレットの生徒による持ち込みが禁止に。
そしてエコな意識が高まっている近頃では、繰り返し使えるアードワーズが復活しつつあるようです。
フランスの屋根
調和を大切にするフランスでは、街や村、通りによって、屋根瓦が統一されているように見受けられます。
それではこれから、屋根をみる街巡りをご一緒してくださいね。
こちらは、大西洋岸のエメラルドグリーンの海がきれいな城塞都市、サンマロ。
アードワーズ石の瓦屋根がマッチして、歴史と神秘性を感じます。
近くでアードワーズ石の瓦屋根の街並みを見るとこんな感じです。
歴史と美食の街、リヨン。
焼き瓦の赤い屋根の街並み。
フランスでは、アードワーズ石瓦以外の屋根瓦は、粘土やその他の素材を焼いて作った屋根瓦が多いです。
フランス最大の港湾都市で地中海に面したマルセイユ。
屋根は太陽がいっぱいの南の街らしく、鮮やかなオレンジ系。
「フランスの最も美しい村」の一つに登録されている、レ・ボー・ド・プロヴァンス。
岩肌とマッチしたやさしい肌色と薄オレンジ系の屋根。
ヨーロッパ南部でみられる、ナチュラルな素焼きの屋根瓦。
ドイツとの国境にある、ライン川に面したストラスブール。
茶色系の木組みと壁が一体化した中世のコロンバージュというメルヘンな家が残る街です。
屋根は茶色系がベース。
首都のパリ。
屋根の色はほぼグレーで統一されていて、多くはライトグレーの亜鉛製。
アードワーズは大通りに多く使われているようです。
手前の3つ建物の屋根は全てが、上部は亜鉛製のようで、下部はアードワーズの石瓦。
この通りは屋根の上部に素焼きの茶色系平瓦、下部にアードワーズ石瓦を組み合わせているようにみえます。
並んでいる縦長の建物は新旧が混在していますが、瓦屋根の素材とカラーはしっかりと合わせているようですね。
以上、アードワーズ石とフランスの屋根を紹介しました。
それでは、また今度!