2024/09/25 10:13
こんにちは。
junonoです。
今回はフランスのパリにあるプティ・パレを紹介します。
プティ・パレはパリ市立美術館として貴重な芸術品を収蔵していて、中でもロッククリスタルでつくられた十字架デザインの時計は美しかったです。
ところで、パリオリンピック2024では日本勢が大活躍でしたね。
ドキドキハラハラの競技を楽しむと同時に、会場の美しさにも心を奪われませんでしたか?
ベルサイユ宮殿での乗馬、タヒチアンブルーの海でのサーフィンなど。
フェンシングやテコンドーが開催されたグラン・パレもそのひとつ。
選手がアール・ヌーヴォー調の階段から降りてきて、淡く柔らかな光に照らされた壮大な屋根の下で競う。
その美しい演出に感動したのではないでしょうか。
プティ・パレは、そのグラン・パレと同時に1900年パリ万博時に同じ建築家によりつくられたベルエポック期の建物で、傑作だといわれています。
新建材が続々と登場する時代において、伝統的な石材を贅沢に用いたパリの建造物の最後期の例の一つ。
古典的な石造りの美と近代建築の融合を体現する貴重な建物です。
それでは、まずパリ万博時につくられた建物について、紐をといてみたいと思います。
1900年パリ万博のためにつくられた建造物
1900年に開催されたパリ万博。
フランスにとっての目的は、自国の温故知新の産業や芸術性などを国際的に宣伝することだったそうです。
当時は19世紀末から1914年頃までフランス、特にパリが文化的・芸術的にもっとも華やいだ時代。
「美しき時代」を意味する「ベル・エポック」期でした。
「新しい芸術」を意味する「アール・ヌーヴォー」様式が流行った時代です。
パリでは万博のために、新たな建造物が次々とつくられました。
建材として伝統的に使われていた石材ではなく、新建材として登場したガラスや鉄でできた建造物が続々と建設されます。
例えば、今は美術館に生まれ変わっているオルセー駅。
新建材として登場した鉄とガラスを巧みに組み合わせた建物。
当時の最新技術と美的センスを融合させた駅です。
パリの地下鉄。
鉄でできた植物デザインの入口。
夕暮れ時になると、柔らかな光に包まれたガラスのランプが幻想的に輝きます。
背景の建物のバルコニーもアール・ヌーヴォー調ですね。
フランスとロシアの友好の象徴のためにつくられたアレクサンドル3世橋。
鉄製の橋で、装飾部分には石材が使われています。
パリ万博でお披露目するモニュメントのハイライトとなったエッフェル塔や、メイン会場のグラン・パレも鉄やガラスが使われました。
プティパレ
美術作品を展示する会場として建設されたプティ・パレも、パリ万博のためにつくられたものです。
グラン・パレ建設の総監督も務めた建築家シャルル・ジローが設計した建物。
昔から使われている石材を中心に、新建材のガラスと鉄を組み合わせてつくられた画期的な建物で、当時はかなり話題になったようです。
1918年に終わった第一次世界大戦後は、安い建材の影響で石建材の需要が急速に減ったとのこと。
プティ・パレは、石を贅沢に使った最終期の建物。
伝統的な石造建築の華やかな時代の有終の美を飾る建物の一つ、と考えてもいいようです。
そんなプティ・パレは、現在はパリ市立美術館になっています。
プティ・パレ。
グラン・パレのすぐ隣にあります。
エントランスは、磨き上げた大理石の壁に細かいモザイクの床。
下階に光を届けるための円形の格子窓のようなものも、床にうめこまれていました。。
色使いが素晴らしい。
スタッフの方によると、プティ・パレの全ての床モザイクは天然石を使用。
石の種類はわからないとのことでした。
公式サイトや学術サイトを調べても不明でしたが、カラー大理石のように見えました。
天井も豪華。
めずらしい明かり窓もついています。
館内を明るくして活気をもたらすために、自然光を最大限に取り入れる設計をしたとのことです。
中庭や回廊もあって、明るく解放的です。
こちらも円形窓と天然石でできたモザイクの床。
アール・ヌーヴォー調の階段。
パリオリンピック2024のグラン・パレ会場で、フェンシングの選手が入場してきた階段と同様です。
曲線と花や草木のデザインが美しい。
プティ・パレのコレクションはかなりあって、紀元前から現代までの有名な作品を含めたあらゆるものがありました。
各作品はもちろんですが、作品が佇む空間づくりに何よりも心を奪われました。
そのため、ここでは主に空間を紹介して、お気に入りの作品を一つだけ取り上げます。
こちらは木調の展示室。
作品と展示室が、あたかも一つの大きな作品であるかのように一体化していました。
大理石の彫刻もいろいろあって、大きな窓から差し込む光のせいか、活き活きとしています。
彫刻たちが同じ空間で生きていて、それぞれ自由に活動しているような錯覚に囚われました。
床は天然石モザイク。
こちらは、個人的に一番気になった作品です。
16世紀から17世紀にかけてつくられた時計の数々。
ロッククリスタルをつかったものもありました。
左手前の十字架型のものが4つに、右上のホタテ貝型のものが1つ。
この2点は時計がすっぽりとロッククリスタルに包まれる、とても贅沢なデザインになっていました。
このような素敵な時計、いったいどのような方々が使っていたのでしょう。
時計はただ時を告げる道具ではなく、日々の生活に美と喜びをもたらす宝物だったのではないでしょうか。
時間を確認するたびに心は洗われ、静かな幸福感に包まれていたのかもしれませんね。
最後に現代アートの不思議な空間へ。
時や空間を超えて、まるで異世界に足を踏み入れたかのような気分でした。
今回は、パリのプティ・パレとその空間やロッククリスタルの時計について紹介しました。
それでは、また次回に。