2025/07/22 17:16
こんにちは。
junonoです。
今回はフランスのパリ植物園内にある鉱物学・地質学ギャラリーを紹介します。
約400年に及ぶ歴史と実績を誇る国立自然史博物館が管轄しています。
ギャラリーには、巨大なロッククリスタルや王侯貴族の宝石類から、小さな化石のオパールまで、多彩なコレクションであふれていました。
それでは、パリ植物園へ。
パリ植物園と国立自然史博物館

パリ植物園。
パリ5区のセーヌ左岸にあって、国立自然史博物館の管轄下になっています。
市民や旅行者の憩いの場になっていて、四季折々の花や植物を楽しむことができる緑豊かなスペースです。
公式サイトによると、もともとは将来の医師や薬剤師の教育のために、王立薬草園としてルイ13世の治世下で1635年に創設されたとのこと。
創設一年後の1636年当時に、その様子を描いた絵が残されていました。
整然としていて、美しいですね。

王立薬草園は城館と土地で構成されていて、宮廷医師ギ・ド・ラ・ブロスの尽力によって、5年間の整備と種まきを経て一般公開へ。
解剖学・植物学・化学の誰でも無料の公開講義が開かれて、すぐに好評を博したとのことです。
余談ですが、日本やアメリカとは違って、現在のフランスやドイツは、大学まで授業料が無料。
フランスでは、この時代から教育は無料という概念が既にあったのですね。
当時、学術の講義はヨーロッパの王侯貴族や知識人の共通語だったラテン語で行われていたとのこと。
ですが、ここでは一般市民が話す地域言語のフランス語で行われたそうです。
教会が異端とした血液循環の研究なども進められていて、聖職者が実験を握っていた大学からは反対されたとのこと。
しかし、対立を恐れずに研究を推し進めていったそうです。
このような機関のおかげで、研究は進んで現在に至っているのですね。
ありがたいです。
後に土地が拡張されて、さまざまな科学研究が進み、多様なコレクションも増加。
王政が倒れたフランス革命後の1793年には、科学を大衆化するために「国立自然史博物館」となってさらに発展しました。
2025年時点で国立自然史博物館は、フランス国内に19か所、そのうちパリに12か所の施設があって、世界的に有名で最も歴史のある学術機関のひとつとなっているとのこと。
王立薬草園だった場所はパリ植物園となり、その敷地内には、ばら園や歴史展示館、動物園、恐竜の化石類がある進化の大展示館などの施設があります。
今回紹介するのは、そのうちの地質学と鉱物学専門のギャラリー(展示館)です。
地質学・鉱物学ギャラリー

地質学・鉱物学ギャラリーの入り口。
なんと、4トンもある超大なブラッククオーツが鎮座。
この大きさのブラッククオーツは、初めてみました。
見ごたえのあるコレクションが期待できそうな雰囲気です。
では、館内へ。

わぁ、クリスタルの洞窟に迷い込んだようです
とても幻想的…
暗がりの館内に足を踏み入れると、グレーのパネルを背景に、絶妙なライティングでロッククリスタルが浮かび上がっていました。
透明感や輝きがより引き立てられて、その美しさが際立っています。
等身大や数トンありそうなさまざまなロッククリスタルが、ゴロゴロありました。

お宝が続きます。
これは…かなり希少なロードクロサイト。
別格と言われている最高峰の米国コロラド州のスイートホーム鉱山産。
赤色が鮮やかです。

こちらは、2点ともアゲート(めのう)のジオードの断面。
なんともミステリアスな美しさ。
ジオードが何かわからない場合は、こちらをご覧くださいね。

見事な砂漠の薔薇(左下の石)も咲き誇っていました。
砂漠の薔薇に興味があれば、こちらをご一読くださいませ。

18世紀に作られたジェード(ヒスイ)のスプーンもありました。
持ち手のほうが淡い色合いになっていて、グラデーションがきれい。
実用品は、宝石がより身近に感じられていいですね。
このスプーンを使って、一体どのような方がどのような料理を召し上がっていたのでしょう?
ジェードは多くの地域で長寿や不老不死の象徴とされているので、このようなスプーンで食事をすれば、使う人にも料理にも何か特別な効果がありそうな気がしてきます。

王侯貴族が愛用した宝石類も展示されていました。
こちらは、ロシア皇帝アレクサンドル1世の嗅ぎ煙草入れ。
金・銀・エナメル製で、76個ものダイヤモンドが使われている贅沢なものです。

すべてがトパーズ
どの色にも魅せられました。

綺麗な虹色
珍しいベレムナイトのオパール。
ベレムナイトとは、約6600万年前にアンモナイトや恐竜とともに絶滅したイカによく似た生き物。
先のとがったところに硬い部分があって、アラゴナイトでできていたのだそうです。
アラゴナイトは真珠やサンゴの主成分でもあります。
こちらはそのアラゴナイトの部分が、約3500万年前にオパールへと化石化したもの。
べレムナイトの化石は、グレーや白系のものを多く見かけます。
オパール化して、しかもこれだけの美しい虹色は、なかなかお目にかかれないのではないでしょうか。
もとが同じものでも、環境や年月によっては、違う石に生まれ変わるのですね。自然の神秘に魅せられます。
ということで、地質学・鉱物学ギャラリーは、大きなロッククリスタルから、小さな化石の宝石まで、多彩な天然石であふれていました。
それでは、また次回に。